● 新規需要は回復しておらず、Apparent DemandとRealized Capの両面で売り優勢の構造が続いている。
● 価格は高水準を保つが、需給は弱く、急落ではなくレンジ内での調整フェーズに位置づけられる。
● 需要の持続的な回復が確認されない限り、方向感は限定的で慎重姿勢が妥当。

現在のビットコイン市場は、明確な強気相場でも、急崩壊を伴う弱気相場でもなく、「弱気優勢の中でのレンジ調整フェーズ」に位置づけられる。方向性としては下向き圧力がなお優勢だが、その性質は過去サイクルの急落局面とは異なる。

このフェーズ認識を裏づけるのが、CryptoQuantで公開されている「Price and Apparent Demand 30-day Change (Julio Moreno @jjcmoreno)」である。本指標は、一定期間における見かけの需要(需要−供給)をBTC数量ベースで可視化したもので、市場に新規需要が入っているか、それとも供給超過が続いているかを構造的に示す。

直近(2026年1月末時点)では、Apparent Demandは明確なマイナス圏にあり、マイナス幅は約−1.9万BTCに達している。一方で、プラスの需要はほぼ観測されていない。これは、市場に新規資金が流入していない状態で、供給だけが優勢になっていることを意味する。

この状況は、Realized Capが横ばいで推移している点とも整合的だ。Realized Capは新規資本の流入を反映しやすい指標であり、これが伸びない環境で時価総額だけが縮小する場合、相場は構造的に強気とは言い難い。価格が7万ドル台後半と歴史的に見れば高水準にある一方で、内部需給は弱いという「歪み」が現在の市場の特徴である。

Apparent Demandの長期推移を見ると、2014–15年、2018–19年、2022年といった本格的な弱気相場では、需要のマイナス幅がより深く、かつ長期間継続していた。一方、足元のマイナスは明確ではあるものの、過去の急崩壊局面ほど極端ではなく、断続的に需要が回復する局面も見られる。これは、全面的な投げ売りというより、段階的な利益確定と需給調整が進んでいる状態と解釈できる。

背景には、ETFおよびMicroStrategyによる買いが、これまで価格を高位で支えてきた構造がある。これらのフローにより初期保有者は大きな含み益を抱え、2024年初頭以降、利益確定を進めてきた。しかし現在は、それらの売りを吸収してきた新規資金の流入が鈍化しており、その結果がApparent Demandのマイナスとして表れている。

ただし、今回の調整局面では、長期保有者の一斉売却を示すような極端なオンチェーンシグナルは限定的である。Apparent Demandが示すのは、売り圧力の継続であって、パニック的な需給崩壊ではない。この点からも、過去サイクルのような急激な70%超の下落より、広いレンジでの調整が続く可能性が高いと考えられる。

エックスウィンリサーチでは、過去の分析においても「価格の持続性は需給と新規資金流入によってのみ確認される」と指摘してきたが、現在のApparent DemandとRealized Capの動きは、その見解と結果的に整合している。

現時点では、新規需要が回復しない限り、弱気優勢のレンジ調整がベースシナリオとなる。ただし、Apparent Demandが持続的にプラス圏へ転じ、Realized Capの明確な上昇が確認される場合、この見方は見直す必要がある。

オンチェーン指標の見方

Price and Apparent Demand 30-day Change は、直近30日間におけるビットコインの価格変化と、需給差(見かけの需要)を同時に可視化した指標である。市場に新規需要が入っている場合はプラス、供給超過の場合はマイナスとして表示され、価格の裏側にある資金フローの状態を把握できる。価格が維持されていても需要がマイナスの場合、相場は新規資金に支えられておらず、調整局面にある可能性が高い。

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