スペースX、史上最大の新規株式公開(IPO)を来週にも実施へ。想定時価総額は1兆7700億ドル。同社の提出書類では、xAIとの合併前は黒字だったが、合併後は赤字企業となったことが明らかとなっている。
同社の説明会では生成AIへの期待を前面に押し出す一方、財務諸表は投資家が実際に何を購入するのか、より複雑な実態を示している。
1株135ドルの売出価格で、スペースXの時価総額は2025年の売上高187億ドルの約94倍となる。調査会社モーニングスターは、これは適正価値の約2倍に近いと指摘している。
提出書類は、総アドレス可能市場(TAM)を28兆5000億ドルと主張する。そのうちAI分野が26兆5000億ドル、うち22700億ドルが企業向けアプリケーションという数字となっている。
スペースXはその市場機会について、異例の強気な表現で説明している。
ただし、この市場でグーグル、オープンAI、マイクロソフトに対し同社がどのようにして競争優位を確保するかについて、詳細な説明はない。一部アナリストは、スペースXの現在の収益水準では価値は大幅に低いと指摘する。
2024年、合併前のスペースXは7億9100万ドルの純利益を計上していた。全株式交換で実施されたxAIとの合併が2025年2月に完了した後、2025年には純損失が49億4000万ドルに拡大した。
2026年第1四半期には、42億8000万ドルの四半期損失を計上。累積赤字は413億ドルに膨らみ、AI部門単体でも前年に運営面で63億6000万ドルの損失を出した。
利益を生む打上げサービスとスターリンクが、その拡大路線を支えている。直近ではAnthropicとの計算資源提供契約や新たなグーグルとの契約が一時的な負担軽減につながっているものの、いずれも両者が90日通知で解除可能となっている。
支持者は、スターリンク単体の高収益性と、計算資源契約による数百億ドル規模の可視的な収益が加わる点を評価する。
また、再利用型ロケットの運用実績こそ、イーロン・マスク氏が難題を達成している証左と指摘する。
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スターリンクが同社の中で最も安定した部門とみられる。契約者数は2026年3月までの1年間で1030万人と2倍以上に増加した。
しかし、1ユーザー当たりの収益性は逆方向に推移した。2023年の月額99ドルから66ドルまで約23%下落。スターリンクがより低価格な市場へ拡大した影響が表れている。
企業統治にも課題がある。マスク氏は持株比率42%に対し、議決権は85.1%を保有。スペースXは上場後「支配会社」としての地位を維持する計画だ。
今回の売出では個人投資家向け枠を最大30%に設定。これは典型的な大型IPOの3倍に当たる。この構成は、既存株主からの売却持分を誰が吸収するのか投資家の疑問を招いている。
こうしたリスクは隠れていない。これらは提出書類に明記されており、すでに一部では指数除外の懸念も浮上している。
最大事業の真価が試される中、1兆7700億ドルが妥当な価格なのかは依然として大きな疑問が残る。


