欧州委員会は、EU全域でのデジタル資産取引への課税の在り方を大きく変える可能性のある、新たな暗号資産税制の枠組みを提案した。
欧州委員会が5月29日に公開した政策文書によると、当局は暗号資産の取引ごとに0.1%の課税を設ける方針を示しており、2025年の予測取引量に基づき年間30億〜40億ユーロの税収を見込んでいる。

委員会の草案において、取引ベースのモデルは取引活動から価値を捕捉する最も直接的な方法として際立っている。文書は、各取引に少額の課税を適用することで、特に暗号資産の取引量が年ごとに変動する中でも、安定した収入を生み出せる可能性があると説明している。
一方、委員会は自らの予測に限界があることも認めている。報告書は、暗号資産市場は依然としてボラティリティが高く、取引発生時にユーザーがどこに所在するかを特定することが難しいと指摘している。また、オンチェーンデータの可視性にギャップがあるため、収入予測の精度も低くなると同文書は述べている。
取引税に加えて、委員会はキャピタルゲイン課税に基づく第二の手法も提示している。2022年のデータを用いて、暗号資産の売却益への課税により年間10億〜24億ユーロを生み出せると文書は試算している。
ただし、報告書自体もこのアプローチに伴うコンプライアンス上の課題を指摘している。複数のウォレットや取引所にまたがる取得コストの追跡は、すでにユーザーにとって管理上の負担となっている。EU統一の税制を導入すれば、特に各国の税制が既に適用されている場合、申告の複雑さがさらに増す可能性がある。
CircleでEU政策を統括するPatrick Hansenは、規制されたプラットフォームへの取引ベースの課税が、活動を分散型取引所へと押しやる可能性があると警告している。同氏の見解では、中央集権型取引所の外での執行には限界があり、それが税の実効性を損なう恐れがあるという。
一方、欧州連合はすでに監視強化に向けた措置を講じている。2026年1月1日に発効したDAC8規則のもとで、暗号資産サービスプロバイダーはEU居住者の取引データを税務当局に報告しなければならない。委員会の文書は、このシステムが執行の基盤を提供するものの、すべての市場活動をカバーするものではないと指摘している。
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