売れるネット広告社グループ(東証グロース:9235)の連結子会社、ビットコイン・セイヴァーは24日、実業家・堀江貴文氏のイーサリアム(ETH)ウォレット復旧に成功したと発表した。同ウォレットはパスワード紛失により長年アクセス不能となっており、国内外の複数の専門業者が復旧を断念した難案件であった。暗号資産の紛失問題が世界的に拡大するなか、国内上場企業がデジタルアセット・リカバリー事業に本格参入した事例として注目を集めている。
堀江貴文氏は、イーサリアムの普及黎明期にあたるICO(新規仮想通貨公開)時代に大量のETHを取得していたが、ウォレットのパスワード紛失により長期にわたってアクセスできない状態が続いていた。暗号資産ウォレットには銀行口座のようなパスワード再発行機能が存在しないため、パスワードを失った場合は資産への完全なアクセス喪失を意味する。
堀江氏は自身のYouTubeチャンネルなどで「目の前に多額の資産があるのに1円も触れない」と繰り返し語っており、暗号資産管理リスクを示す事例として広く認知されていた。国内外の複数の復旧専門業者が対応を試みたが、いずれも解析に失敗していた。
今回の復旧作業は、ビットコイン・セイヴァー代表の岩田顕斗氏と、2017年のハッキング技術世界大会で1位を獲得したスリランカ人エンジニア、Ranathunga Bhashana Kusalan氏が中核を担った。独自の解析・復旧手法を駆使し、他社が断念した案件を成功に導いたとしている。
今回の案件受注の背景には、売れるネット広告社グループ取締役会長の加藤公一レオ氏と堀江氏との事業提携関係がある。両氏はFMラジオ局・CROSS FMへの資本参加や共同番組への参画を通じて協業しており、こうした信頼関係が依頼につながったという。復旧報酬のモデルは成功報酬型で、復旧資産の約40%を受領する仕組みとなっている。同社は今回の成功報酬が2026年7月期の連結業績にプラス寄与すると見込んでいるが、現時点での影響は軽微としている。
ビットコイン・セイヴァーは、世界で約60兆円相当に上るとされるアクセス不能な暗号資産の救出を事業の核に据え、国内上場企業として初めてデジタルアセット・リカバリー(暗号資産復旧)に特化したサービスを展開している。
エンジェル投資家のJeremy氏は370万BTCが消失したと主張する暗号資産は秘密鍵やパスワードを失った場合に資産へのアクセスが永久に遮断されるリスクを抱えており、ビットコインだけで全発行済み枚数の約20%が永続的に失われたとの研究も存在する。同社は今回の実績を活用し、世界市場で数千億円規模を目指すユニコーン事業への成長を目標に掲げている。暗号資産の自己管理(セルフカストディ)が普及する一方でパスワード管理の難しさも顕在化しており、復旧サービス需要は今後も拡大が見込まれる分野だ。


