SEC(証券取引委員会)とCFTC(商品先物取引委員会)は11日、適法なイノベーションの支援や市場の健全性維持、投資家・顧客保護に向けた両機関の調整・連携の指針となる覚書(MOU)を締結したと発表した。あわせて、暗号資産を含む新興技術向けの規制枠組みの明確化など6分野を対象とする「Joint Harmonization Initiative(合同規制調和イニシアチブ)」も設立された。
SEC委員長のポール・アトキンス氏は、数十年にわたりSECとCFTCの間で規制の縄張り争いや重複する登録手続き、異なる規制体系が続いてきたと指摘した。こうした状況がイノベーションを阻害し、市場参加者を他の領域へ追いやってきたという。同氏は今回の覚書を金融イノベーションの次章において、米国のリーダーシップを支える「新たな調和の時代に向けたロードマップ」と位置づけた。規制上の定義の統一や監督の調整、機関の間での安全なデータ共有の円滑化を通じて、市場参加者が求める明確なルールを提供するとしている。また、覚書では「最小限かつ効果的な規制」により、米国金融の競争力強化を目指す姿勢も示された。
CFTC委員長のマイケル・セリグ氏は、米国の金融市場が世界から羨まれる理由として、投資家の需要に合わせた拡大と適応力を挙げた。その上で規制の枠組みも進化することが必要だとの認識を示している。また、覚書は包括的かつシームレスな金融市場の監督体制を目指す両機関の姿勢を明確にするものだという。同氏は重複する煩雑な規制を排除し、規制のギャップを埋めることが全米国民の利益につながり、「アメリカ金融の黄金時代を迎える」との展望も語った。
合同規制調和イニシアチブは、共同の解釈・規則の制定による商品定義の明確化、清算・証拠金・担保枠組みの近代化、二重登録された取引所や仲介業者の摩擦削減、暗号資産・新興技術向けの規制枠組み整備、規制報告の合理化、市場横断的な検査・監視・執行の調整の調整の6分野を対象とする。両機関の政策立案や検査、執行にわたる連携も推進していく方針だ。同イニシアチブは、SECのロバート・テプリー氏とCFTCのメーガン・テンテ氏が共同で主導する。
両機関はこれに先立ち、規制枠組みの調和に向けた取り組みを進めてきた。今回の覚書とイニシアチブの設立は、暗号資産を含む新興技術分野をめぐり、SECとCFTCの連携が新たな段階に入ったことを印象づける内容となった。
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