イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏は2日、イーサリアムの実行レイヤーを根本から見直す技術ロードマップを自身のXで公開した。処理効率の大幅な向上に加え、将来的にはEVM(イーサリアム仮想マシン)の廃止まで視野に入れた2段階の刷新を提案している。
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ETHでは、取引が正しいかを確かめる検証処理の高速化が課題となっている。ヴィタリック氏によると、この検証を遅くしている主な原因はデータの管理構造(ステートツリー)とVM(仮想マシン)の2つで、証明生成にかかるコストの80%以上がこの2つに起因するという。今回の刷新案は、この2つを根本から作り直すことで証明生成やクライアント側の検証に関わる処理効率の大幅な向上を目指すとのこと。
まず1つ目はステートツリーの刷新である。イーサリアムはデータを木のようなツリー構造で管理しており、取引の検証ではこのツリーをたどる必要がある。現行は1つの分岐点から16方向に枝分かれする方式のため検証経路が長くなるが、これを2方向の分岐に切り替えれば経路が4分の1に短縮される。さらにハッシュ関数の見直しにも言及し、候補としてポセイドンを挙げた。ポセイドンを採用した場合、証明に関わる計算が大幅に効率化し得るとしている一方で、追加の安全検証が必要だとも述べた。
こうした変更は、ガス代の低下への波及効果も大きいとのことだ。ヴィタリック氏は、新たなツリー構造では関連するデータを「ページ」単位でまとめて配置するため、多くのdApps(分散型アプリケーション)で1トランザクションあたり1万ガス以上の節約が可能になると述べた。同氏はこの変更を過去10年の知見を一括適用できる「オムニバス」的なアップグレードと表現している。
2つ目の刷新が、EVMからオープンソースの命令セットアーキテクチャであるRISC-Vへの段階的な移行である。RISC-Vは、より軽量な処理基盤として知られており、現在のEVMはプロトコルの複雑化に伴い特殊なケースが増え、開発者が使用を避ける傾向が出ているという。RISC-Vに移行することで処理効率がEVMを上回り、あらかじめ組み込まれた処理機能であるプリコンパイルの80%を新しい仮想マシン側のコードとして置き換える構想を示した。
デプロイは3段階を想定している。まずプリコンパイル専用にRISC-Vを導入し、次にユーザーがRISC-Vでコントラクトをデプロイ可能にし、最終的にEVMをRISC-V上のスマートコントラクトへ置き換えるとのこと。既存のEVMユーザーにはガス代の変更を除き、これまで通り利用できる環境が確保されるとしている。
ただし、ヴィタリック氏は仮想マシンの変更は依然として投機的な段階で、合意が形成されていない部分も多いと付け加えた。まずはステートツリーの変更を完了させた上で、仮想マシンの変更が「明白な次のステップ」になるとの見通しを示している。
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