イーサリアム財団は23日、分散型金融(DeFi)エコシステムへの包括的な支援方針を発表した。同財団はDeFi専門チームを編成し、セキュリティ強化、プライバシー保護、分散化推進などの重点領域において開発者への支援を拡充する。オープンソース原則を堅持しながら、従来型金融システムでは実現困難な新たな金融サービスの構築を目指す。財団は「DeFiはイーサリアムの長期的成功の中核」と位置づけ、プロトコル開発者との連携強化や標準化推進に注力する方針だ。
イーサリアム財団は、アプリケーション関係チーム内にDeFi専門部門を新設した。DeFiプロトコル専門家のチャールズ・セントルイス氏と、DeFiコーディネーターのイバンGBI氏が同部門を統括する。セントルイス氏は2021年から2025年まで固定金利イールドプロトコルを開発するDELV(旧エレメント・ファイナンス)を率い、それ以前にはステーブルコインDAIシステムとメイカーDAOのガバナンス構築に携わった経歴を持つ。イバンGBI氏は2021年にレバレッジ特化型のモジュラーレンディングインフラであるギアボックス・プロトコルを共同創業し、両氏を合わせると10年以上のDeFi開発実績がある。
財団は開発者との関係構築を最優先課題に掲げる。プロトコルアップグレード情報の共有、アプリケーション層のニーズをコア開発者に伝達する仕組み、イーサリアム上で構築する開発チームへの支援体制を整備する。
財団の共同エグゼクティブディレクターであるシャオウェイ・ワン氏は「急速な成長期に採用された標準が将来的な制約となり、透明性を重視した設計がデフォルトで監視体制を固定化してしまう恐れがある」と指摘し、新しいDeFiプリミティブの設計空間を狭める圧力やプライバシー重視のイノベーションを制約する力に対抗すると表明した。
Ethereum Foundation関連アカウントの@jchaskin22氏はXで以下のように語っている。
財団が示した優先事項の中で、セキュリティ強化は最重要課題の1つである。インターフェース、オラクル、アップグレード機構、管理者鍵、そして多くのプロトコルが移行期の手段として依存している裁量的マルチシグなど、システムの脆弱点に批判的な視点を向ける。エクスプロイトは個別プロトコルを傷つけるだけでなく、エコシステム全体の後退を招くため、より優れた監査慣行、ランタイム保護、そして時間の経過とともにトラストレス化へ向かうアーキテクチャを支援する。
分散化とオープン性の推進では、オープンソース、コンポーザブル、検証可能なコードをベースラインとして提唱する。読解、監査、構築が可能なコードこそが信頼できるコードであるとし、開発チームに対して直接的な管理から脱却し、分散型ガバナンスへの移行を奨励する。また、財団のプライバシークラスターと協力し、プライバシー保護型DeFiを支援する。全トークンの決済におけるプライバシーを最初のステップとし、次いで取引やレンディングなどより複雑なユースケースへと展開する方針だ。プライバシーはオプトイン機能ではなく、デフォルトとして実装されるべきだと強調する。
財団は、ボールト、トークン化、現実資産(RWA)、開示フォーマットにわたる一貫した標準の推進に取り組む。エコシステムが依拠できる共有リスクフレームワークの支援として、明確な分類体系、「低リスク」の実際の意味に関する正直な評価、ウォレット・エクスプローラー・インフラチームとの協調による摩擦の削減を進める。研究とコンテンツ面では、メカニズム研究、データ分析、DeFi重点イベントの支援、人々がDeFiの動向と活用方法を理解する助けとなる分かりやすい解説の作成とキュレーションを行う。
今後注視する領域として、DeFiと人工知能の融合、機関投資家によるDeFi採用、ステーブルコインと決済、既存カテゴリに収まらない新しい金融プリミティブを挙げた。財団は「ユーザー制御型AIと高スループットのオンチェーン先物市場を組み合わせ、予想される将来支出に対するヘッジという根本的問題に対して、より優れた解決策を生み出せないか」といった問いを提示し、根本的に異なるアプローチの探求を促す。
アプリケーション関係チームは3月24日から26日にデジタルアセットサミット、3月30日から4月2日にEthCCに参加し、これらの取り組みについて説明する予定だ。イーサリアム上でDeFiを構築する開発者は、defi@ethereum.org経由で財団に連絡できる。財団は「すべての道はイーサリアムに通じる」との言葉で声明を締めくくり、オープンファイナンスの前進に必要な調整、可視性、接続性を開発者に提供し続けると約束した。


