「ステーブルコインで株売買 大手証券・3メガ銀が連合」と日経新聞は11日、一面で伝えた。野村ホールディングス、大和証券グループ本社は3メガバンクと、ステーブルコインで株や債券、投資信託を購入できる枠組みを作るという。2月中にも金融庁に届出を行い、株売買などの決済をブロックチェーン上で行う実証実験をはじめるとしている。
3メガバンク共同ステーブルコイン、より正確には、金融庁「FinTech実証実験ハブ・決済高度化プロジェクト(PIP)」の支援事業として進められている3メガバンク共同でのステーブルコイン発行の実証実験は、ユースケースとして、当初、三菱商事のグローバル決済での活用が伝えられていた。
さらに野村證券・大和証券での株売買での決済が加わると、ユースケースが一段と広がることになる。
報道によると、まずは株売買での決済にステーブルコインを活用し、将来的には、24時間365日、株やMMFをブロックチェーン上で即時決済する仕組みを目指すという。
MMFのトークン化(トークン化MMF)は、すでにアメリカでは利用が進み、世界最大の資産運用会社BlackRockが手がけるトークン化MMF「BUIDL」の運用残高は18億ドル(約2800億円、1ドル=155円換算)超となっている。
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株式のトークン化もさまざまな取り組みが進んでいる。象徴的な事例としては、NYSE(ニューヨーク証券取引所)がトークン化株式プラットフォームの開発を発表している。
日本でもトークン化MMFは、2026年の発行を目指す取り組みが進められている。
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東京証券取引所や「ほふり」の関わりは?
今回の取り組みは、まずは、野村證券、大和証券での決済へのステーブルコイン活用であり、株式、MMFのトークン化は「将来の話」となっているが、有価証券のトークン化となると、東京証券取引所を運営する日本取引所グループ(JPX)も大きく関係してくるだろう。
有価証券の管理・決済は現在、「ほふり」と呼ばれる証券保管振替機構(JASDEC)が担い、レガシーシステムが構築されている。長期的にはそうしたシステムを徐々にリプレースする流れが想定できても、当面は並行して動かすことになり、並行運用となる可能性がある。
またブロックチェーン基盤として何を選定するのかという課題もある。3メガバンク共同ステーブルコインのインフラ/技術支援はProgmat(プログマ)が担当しているが、有価証券トークン化のプレイヤーには、野村系のBOOSTRYなども存在する。
「ジョインする事を拒絶した」
そしてもう一つ、気になる動きがある。SBIグループだ。SBIグループを率いる北尾吉孝氏は11日、日経の報道を受けて、以下のようにXに投稿している。
「SBIはここにジョインする事を拒絶した。SBIは画一的、競争制限的、護送船団的、なものを一切拒絶する」
1月16日に掲載したNADA NEWSの創刊特集インタビューでも、3メガバンク共同ステーブルコインについて「実験的な取り組みは構わない。だが、ビジネスは競争を促進する方向で進めなければならない。そのために独占禁止法がある」と語っている。
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実際、SBIは渡辺創太氏が率いるStartaleとともに、ステーブルコイン、トークン化資産の取引基盤の構築に取り組んでいる。直近では、金融特化型レイヤー1「Strium(ストリウム)」も発表した。
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金融商品などRWA(現実資産)のトークン化、金融のオンチェーン化は、アメリカの動きに象徴されるように、不可逆的な流れとなっている。主導権争いの様相もあるが、制度整備と実装での競争が同時進行するフェーズに、日本の金融が入ったと言えそうだ。
|文:増田隆幸
|画像:Shutterstock、多田圭佑
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