分散型ソーシャルプロトコルとして知られるFarcaster(ファーキャスター)の共同創業者であるDan Romero (ダン・ロメロ)氏とVarun Srinivasan(ヴァルン・スリニヴァサン)氏が、ステーブルコインに特化した新興企業Tempo(テンポ)に参画することを明らかにした。
ファーキャスターは先月、分散型ソーシャル向けインフラ企業Neynar(ネイナー)に買収されたばかりである。
ネイナーは、ファーキャスター上で開発者向けAPIやツールを提供してきた長年のインフラプロバイダーであり、買収後はプロトコルと関連製品の運営を引き継いでいる。
これに伴い、ファーキャスターの開発会社であるMerkle Manufactory(マークル・マニュファクトリー)の中核メンバーだったロメロ氏とスリニヴァサン氏、そして複数のチームメンバーがプロジェクトの第一線から退いた。
マークル・マニュファクトリーは、これまでに調達した約1億8000万ドル(約280億円、1ドル=155円換算)のベンチャー資金を投資家に返還する方針も明らかにしており、ファーキャスターは新体制の下で運営が続けられる。
「クリプト版Twitter」からの転身
ファーキャスターはかつて、「暗号資産(仮想通貨)版Twitter(ツイッター)」とも称される存在だった。
ユーザーが自らのIDやデータを管理できる、プロトコルベースの分散型ソーシャルネットワークとして注目を集め、Web3時代の新しいSNSの形を提示してきた。
しかし今回、創業者たちが次に選んだ舞台はソーシャルではなく決済だ。
ロメロ氏はXへの投稿で、テンポにおいて「高速で、低コストかつ透明性の高いグローバル決済ネットワーク」の構築に注力すると述べている。スリニヴァサン氏も同様に、国境を越えた支払いを効率化するインフラ作りに取り組む意向を示した。
ステーブルコインを大きな機会と位置づけ
ロメロ氏は、ステーブルコインを「何十年かに一度しかないような機会」と表現している。
価格変動の激しい暗号資産とは異なり、法定通貨に価値を連動させたステーブルコインは、実用的な決済手段として注目を集めてきた。特に国際送金分野では、既存の銀行間ネットワークが「遅い・高い・不透明」と指摘される中、代替手段としての期待が高まっている。
テンポは、こうした課題を解決するために設計されたブロックチェーン基盤を提供し、ステーブルコインを用いた国際決済を主軸に据えている。
StripeとParadigmが支える大型プロジェクト
テンポは表舞台に出ることは少なかったものの、資金面とパートナーシップの両面で注目を集めてきた。
同社は決済大手Stripe(ストライプ)と暗号資産ベンチャーキャピタルParadigm(パラダイム)によってインキュベートされ、昨年には評価額約50億ドルで5億ドルを調達したと報じられている。
パラダイムの共同創業者Matt Huang(マット・ホアン)氏は、ロメロ氏やスリニヴァサン氏に加え、マークルチームの残りのメンバーもテンポに合流することを明らかにしており、人材面でも大きな再編が進んでいる。
テンポは単なるアプリやサービスではなく、ステーブルコイン決済に最適化されたレイヤー1ブロックチェーンとして位置づけられている。
2025年12月にはパブリックテストネットを公開し、すでに実運用を見据えた準備が進められている。
同社によれば、Mastercard(マスターカード)、UBS、Kalshi(カルシ)といった大手企業がデザインパートナーとして関与しており、さらにKlarna(クラーナ)のような企業がテンポ上でステーブルコインを発行する計画もあるという。銀行、フィンテック、暗号資産企業が一斉に国際決済インフラの刷新を模索する中で、テンポはその受け皿となることを狙っている。
|文・編集:Shoko Galaviz
|画像:Shutterstock
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