「金融特化型チェーン」が、2026年の新たな注目の的になりそうだ。

SBIホールディングスとStartale Groupは2月5日、レイヤー1ブロックチェーン「Strium Network(以下「Strium」)」を共同で発表した。暗号資産(仮想通貨)、トークン化株式、RWA(リアルワールドアセット、現実資産)連動型金融商品を含む、あらゆる金融資産のオンチェーン取引に特化し、24時間365日稼働する現物およびデリバティブ市場を通じて、取引および決済を行うための専用プラットフォームという。

リリースには「あらゆる資産がトークン化されていくトークンエコノミーの到来に向けて、すべての金融資産がオンチェーンで取引される世界を目指します」と記されている。現在、概念実証(PoC)のフェーズに移行し、機関投資家向けのオンチェーン資本市場インフラとしての実効性を検証。基盤機能の構築を進めている。

金融特化型チェーンは、世界各国の金融機関が参加する「Canton Network(カントン・ネットワーク)」、ドル建てステーブルコインUSDCを発行する米Circle(サークル)が手がけるArc、決済企業Stripe(ストライプ)のTempoなど、伝統的金融(TradFi)と暗号資産領域の融合を背景に、急速に関心が高まりつつある。

これまで、チェーンをめぐる議論は、パブリックかプライベートか、レイヤー1かレイヤー2かといった技術的な分類が中心であり、金融はその上に乗る大きなユースケースのひとつとして位置づけられてきた。

しかし、TradFiとクリプトの融合が進むなか、汎用性を優先したブロックチェーンではなく、規制対応やプライバシー、決済・清算といった金融が求める要件を前提に設計されたブロックチェーンが、次々と登場している。

強力なライバルたち、Striumの戦略は?

では、グローバルプレイヤーがすでにしのぎを削る領域において、後発となるStriumはどのような戦略を取るのか。リリースを見ると、その一端を知ることができそうだ。

リリースには「SBIホールディングスが国内外に有する8,000万人超の顧客基盤と、証券・銀行・金融サービス分野における豊富な知見を活かす」「アジアにおけるオンチェーン証券市場の基盤的な取引所レイヤーとしての地位を確立」というフレーズが記されている。

事実、SBIグループを率いる北尾吉孝氏は、NADA NEWSの創刊特集インタビューで「シンガポールやドバイでサービスを進化させ、世界と競争しながら、その成果を日本に導入していく」と述べている。

▶2026年、日本の金融は作り替えられる──SBI北尾吉孝氏が描く「デジタルバンク」とトークン化の未来【2026年 創刊特集】再掲

また、2月4日、日本ブロックチェーン協会(JBA)が開催した「JBA Meetup 2026」のパネルディスカッションに、Startaleを率いる渡辺創太氏が登壇。昨年から米国に拠点を移した渡辺氏は、米国のオンチェーン金融の最新事情について、「米国の金融機関のクリプト、オンチェーンに対する解像度は極めて高い」と述べ、ウォールストリートが今、熱狂しているのは、資産のトークン化、金融のオンチェーン化だと指摘した。

alt 〈Startale GroupのCEOで、JBA理事の渡辺創太氏|撮影:増田隆幸)

さらに「今、トークナイゼーションされているアセットは指数関数的に伸びている。だが株式は(チェーン)にまだあまり乗っていない。株式が乗ってくるとグラフが垂直になるくらい伸びるだろう」と続けた。

この一大トレンドの中、SBIそしてStartaleが確固たる存在感を示し、ポジションを取るための強力なツールが、Striumというわけだ。

Striumの詳細:オンチェーン金融資産取引所のためのインフラ

リリースによると、Striumの特徴は以下の通り。

● 迅速な価格形成:24時間365日の稼働による、タイムラグのない価格形成
● 継続的な取引機会:従来の市場構造を進化させる、グローバルでシームレスなアクセス
● スケーラブルな流動性: 資産の発行構造に依存しない自由度の高い流動性供給 
● AIエージェント:人間だけではなくAIが取引を行うことも視野にいれた設計 

概念実証(PoC)で「堅牢な金融インフラ」を目指す

今回の発表は、開発を進めてきた概念実証(PoC)が、社内での事業化検討や意思決定に用いることができる段階に入ったことを受けたものだという。

また、PoCでは、性急な商用化を優先するのではなく、機関投資家の利用に耐えうる「堅牢な金融インフラ」の構築を最優先事項として掲げている。さらに今後公開を予定している「Striumテストネット」では、初期参加者が直接、その機能を体験できる環境を提供。開発の進捗に応じて、今後数カ月以内にさらなる発表を行う予定としている。

なお、Startaleは直近、Sony Innovation Fund(SIF)から約20億円を調達。JBAのパネルディスカッションで渡辺氏が「最近はクリプトと言わずに、オンチェーン金融と呼んでいる」と語るなど、オンチェーンインフラへの取り組みを強化している。

|文:増田隆幸
|画像:リリースより

JAPAN FINTECH WEEK 2026初日開催!
Future of Digital Money
デジタル通貨カンファレンス
2026年2月24日(火) 11:00-18:00
登録無料
📋 詳細を見る
✉️ 今すぐ申し込む