●相場はトレンド不在の調整局面にあり、方向感は依然として定まっていない。
●ETF平均取得価格(83,000ドル前後)は、需給面での重要な分岐点となっている。
●レバレッジ整理が進む一方、新たな資金流入は確認されていない。
現在のビットコイン市場は、明確なトレンドが確認できない調整・レンジ局面に位置している。方向性としては条件付きで弱含みが優勢だが、急落やパニックを前提とするフェーズでもない。価格は週末にかけて持ち直しているものの、構造データを見る限り、市場は次の方向性を模索する段階にある。
CryptoQuantの分析によると、ETF Realized Priceから見た米国現物ビットコインETF保有者の平均取得価格は、概ね83,000ドル前後のゾーンに位置している。この水準は短期的なテクニカルラインというより、機関投資家にとっての損益分岐点としての意味合いが強い。仮にこのコスト帯を明確に下回る状態が定着する場合、リスク管理に基づく売却が増加し、需給が一段と悪化する可能性がある。
一方で、CME先物は金曜に90,541ドルでクローズしており、現物市場との間には依然として価格差が残っている。過去6か月を振り返ると、CMEギャップはすべて解消されており、その約95%は7日以内に埋め戻されてきた。現在の価格はすでにこの水準に接近しているが、統計的には同水準を意識した値動きが続く可能性もあり、短期的な調整や再テストが入る展開は否定できない。
先物市場では、BTCのオープンインタレストが2022年以来の低水準まで低下している。これはレバレッジ主導のポジションが整理され、市場全体の過熱感が後退していることを示す。一方で、新たなトレンドを形成するほどの積極的な資金流入や建玉の再拡大は、現時点では確認されていない。
オンチェーンデータを見ると、1,000〜10,000BTCを保有する大口アドレスの残高は、この1年で約22万BTC減少している。2024年3月に保有量がピークアウトして以降の減少ペースは、2023年初頭以来で最も速い。ただし、長期保有者(LTH)の支出増加として観測されている動きには、取引所内部ウォレットの移動が含まれており、実需の売却と即断するのは適切ではない。過去にも同様の内部移動が需給指標を歪めた例があり、表面の数値ではなく構造の確認が不可欠だ。
現時点では、方向感を欠いた調整局面がベースシナリオとなる。ただし、ETF平均取得価格のゾーンを明確に割り込み、同時に先物建玉の再拡大が確認される場合、この見方は見直す必要がある。
オンチェーン指標の見方
ETF Realized Price:ETF Realized Priceとは、米国の現物ビットコインETFを通じて取得されたBTCについて、実際にオンチェーンで移動が発生した価格を加重平均した指標である。一般的な時価平均ではなく、「ETF投資家が実際にどの価格帯でBTCを取得したか」を反映する点が特徴だ。この指標は、CryptoQuantがオンチェーンデータを基に算出しており、ETFフローと実需のコスト構造を把握するために用いられる。現時点では、方向感を欠いた調整局面がベースシナリオとなる。ただし、ETF平均取得価格のゾーンを明確に割り込み、同時に先物建玉の再拡大が確認される場合、この見方は見直す必要がある。
New Atlas for Digital Assets ──
デジタル資産市場の「地図」と「コンパス」を目指して


