コインベース(Coinbase)は、オンチェーン予測市場のスタートアップであるThe Clearing Companyを買収することで合意した。
仮想通貨取引にとどまらず、現実世界の出来事に連動した金融商品を取り込むことで、予測市場分野での事業拡大を進める。今回の買収は、現金と自社株式を組み合わせた完全買収となり、取引額は公表されていない。標準的な完了条件を満たしたうえで、取引は2026年1月に完了する予定で、買収後、The Clearing Companyのチームはコインベースに合流し、社内の予測市場チームとして機能する。
The Clearing Companyは今年(2025年)初めに設立されたスタートアップで、規制に準拠したオンチェーン予測市場インフラの構築に注力してきた。8月には、コインベース・ベンチャーズが参加する1,500万ドル(約23.3億円)のシードラウンドを実施しており、設立から短期間での買収となった。
コインベースは今回の取引について、独立したプラットフォームを維持するのではなく、専門性の高い人材と技術を自社のコアエコシステムに統合する方針を示している。
予測市場分野では、Polymarket(ポリマーケット)やKalshi(カルシ)といった競合他社が取引高を伸ばしており、直近では、複数のプラットフォームで月間取引高が数十億ドル規模に達し、業界全体として急成長局面に入っている。
こうした環境下で、取引所やフィンテック企業は予測市場を高いエンゲージメントを生む成長分野と位置付け、参入を進めている。
コインベースは公式Xアカウントにおいて、予測市場の発表に続き、計画を次の段階へ進めるために専門人材を迎え入れたと説明し、The Clearing Companyのチームがコインベースに加わることを明らかにした。投稿では、予測市場を中核事業として育成していく姿勢が示されており、今回の買収が人材と機能の統合を目的としたものである点が強調されている。
The Clearing Companyは、SEC(米国証券取引委員会)の規制に準拠した運営を目指しており、デリバティブ清算機関への登録も申請している。承認された場合、ステーブルコインを基盤とした清算機関として位置付けられる可能性がある。
コインベースは、予測市場を単なるニッチな商品ではなく、将来の成長を支える重要なカテゴリーの一つと捉えている。仮想通貨に加え、株式取引の提供拡大も進める同社は、複数の金融商品を単一のプラットフォームで扱う体制を構築しつつある。
今回の買収は、イベントベース市場が規制金融の枠組みに近づきつつある流れを象徴する動きといえる。コインベースは予測市場の人材と技術を取り込むことで、「あらゆるものを取引できる取引所」という構想の実現に向けた一歩を踏み出した。
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