銅価格は6月2日に1ポンド6.63ドル付近で過去最高値を記録した。背景にはNvidiaなどを押し上げているAIデータセンター建設ブームがある。ただし現在は6.27ドル前後まで下落しており、最高値から約6%下落。
オプション取引参加者は上昇傾向を示しているが、チャート、ドル、現物市場でのヘッジャーはいずれも警戒感を示している。需要増は事実だが、短期的な環境は一様とは言えず、複数の指標が同じ方向を示している。
あらゆるAIデータセンターは銅を基盤として稼働する。電力の供給、冷却、バスバーなど、建設を支える仕組みはいずれも大量の銅を要し、NvidiaやAI関連セクターのブームと銅価格は直結する構図。
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市場規模は大きい。ハイパースケールのAI施設1カ所で消費する銅は最大5万トンに上ると銅開発協会は指摘する。一方、従来型データセンターでは5000~1万5000トン。
JPモルガンは、今年のデータセンターによる銅の需要が単独で47万5000トンに達すると見積もる。前年比で大幅に増加。
Nvidiaのジェンスン・フアンCEOは、チップの接続には今後も可能な限り銅が主役であり続けると述べている。光学技術への移行が始まるまで、その需要が続く。この需要はすでに構造的な供給不足の上に成り立つ。S&Pグローバルは、2040年までに1000万トン規模の供給不足と予測する。
需要拡大自体は揺るがない。ただし直近の上昇が正当化されたものかどうかが問題である。
まずチャートが警告サインを示す。銅はダブルトップを形成した。これは、同じ高値圏を2度試して突破できなかったパターンであり、勢いの鈍化を示唆する。
ダブルトップは弱気のパターンだ。これは高値を2度試して失敗する形。銅は5月と6月初めに、記録的水準でこの動きを見せた。
ドル高も圧力を強めている。米ドル指数(DXY)は、主要通貨に対するドル相場を示すが、銅価格が停滞する中で上昇している。
ドル高はドル建ての銅を海外で割高にする。債券利回りの上昇も加わり、現金需要を後押し。こうした環境がポジションの分断を生む。
ここで分断が鮮明となる。米国銅指数ファンド(CPER)では、オプションのプット・コールレシオが上昇傾向に転じた。出来高比率は、6月2日の0.27から0.11まで低下。オープンインタレスト比率も0.19付近で推移。
プット・コールレシオが1未満なら、コールがプットを上回り強気傾向を示す。オプション勢は銅に前向きだが、チャートやドルは警戒を促す。
一方、先物市場は異なる見方。直近のCFTC建玉報告(COT)によると、現物取引に近い商業ヘッジャーはネットショートを維持し、ロングを3254枚減らした。
オプションの強気な賭けは、いわゆるプロ筋の逆を行くものとなっている。
同じ建玉報告から買いの主体が分かる。非商業的な投機筋は11万1525枚のロングを持ち、ショートは3万2692枚。高値圏でさらに5852枚のロングを積み増した。投機筋の過度なロングは、センチメント反転時に下落リスクを高める。
今後のカギとなるのが銅・金投資家ローテーション指数だ。これはBeInCrypto独自指標で、投資家が銅(成長)と金(安全性)のどちらを選好しているかを示す。
数値が上昇すれば成長志向、低下すれば防御志向へのシフトを示す。
同指数は1.23付近と、レンジの上限近くに位置している。これは重要な水準であり、1月には銅が高値を付けた際に同指数が急落したことで、価格の強さにもかかわらず警戒感が示された経緯がある。成長主導の動きが失われた後、調整局面に入った経過がある。
1月とは異なり、現在は価格とともに指数も上昇している。これは成長感度の高い資産への投資意欲が強まっていることを示し、生成AI関連銘柄の好調が市場全体の成長期待を後押ししている可能性が高い。現時点ではローテーションシグナルは強気派に分がある構図。
銅の構造的な強含み要因は変わっていない。生成AIの普及(データセンター需要)による下支えから、この流れに陰りは見られない。一方で、足元のシグナルはやや慎重であり、いくつかの指標が今後の動向を左右する見通し。
今後の銅動向を注視するなら、下記のポイントに注意したい。
強気なオプション筋と慎重なスマートマネー、どちらの見方も長くは続かない。次の動向は、どちらの陣営が先に譲歩するかにかかっている。


