ドナルド・トランプ米大統領と習近平中国国家主席の3日間にわたる北京サミットが5月15日に終了した。今回の合意には、航空機受注、農産物輸出、約300億ドル規模の関税引き下げ枠組みが盛り込まれた。この合意を受け、米中貿易に対するウォール街の見通しが一変し、今後恩恵を受けるとみられる銘柄が浮き彫りとなった。
BeInCryptoのアナリストは、航空宇宙、農業、半導体の3分野から、それぞれに特徴的なチャートパターンを持ち、段階的に恩恵を受ける3銘柄を特定した。
ボーイングは、トランプ氏の訪中による最も直接的な恩恵銘柄となった。同社は5月14〜15日の北京サミットで200機の航空機受注を初期合意したと発表した。ケリー・オルトバーグCEOもトランプ氏の一行に同行した。中国が2025年の貿易戦争時に納入を停止して以降、数年ぶりの大型受注となる。
また、トランプ・習会談では、約300億ドル規模の輸入品を対象とする関税引き下げの枠組みも策定された。これによって、プラネメーカーである同社の中国ビジネスに1年以上の間、重くのしかかっていた構造的なリスクが解消される見通し。
ボーイング株は5月15日に3.8%下落した。今回の受注台数は2025年後半に取り沙汰されていた最大500機という期待を下回った。株価は5月14日につけた243ドルの高値から、5月19日には213ドルまで一時下落した。
ただ、この株価下落は4月30日から5月20日にかけて出来高の増加とともに進行した。これはヘッドラインでの失望感で弱含む中、下値では買いが入り、押し目買いの蓄積が進んだことを示す。
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5月21日には出来高771万株を伴い、222ドルまで株価が反発した。米中貿易正常化という材料は、むしろ押し目で買われている状況。
株価は3月下旬の187ドル安値を起点とした上昇チャネル内で推移している。終値が227ドルを明確に上回れば、発注拡大を織り込み、241ドルまでの上昇(9%上昇)が見込める。中長期目標は258ドル、および270ドル。213ドルを下回れば201ドル、チャネル下限の187ドルが視野に入る。
アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドは、トランプ訪中の合意による大豆取引再開の中心的銘柄となる。ホワイトハウスによれば、中国は米国産農産物を毎年少なくとも170億ドル分購入することを確認した。
ADMは世界最大級の大豆加工業者であり、米国産穀物輸出の主要取扱会社でもある。同社は5月5日に2026年の業績見通しを上方修正した。中国の大豆購入が正常化するとの期待が背景。同社株はこの発表で一日の上昇率として過去6年超で最大となる7.2%高を記録した。
日足チャートでは、典型的な強気フラッグパターンが形成されている。トランプ氏の訪中を受けた恩恵銘柄として注目される理由の一つである。ADM株は4月中旬の安値から5月13日の83ドル高値まで25.9%上昇した。この上昇がフラッグの“ポール”部分を形作る。
5月13日以降の反落で、83ドルから77ドルの狭い下降チャネルを形成した。これが“旗”部分に当たる。大豆輸出再開という材料は、このパターンとマクロ要因が一致する。
チャイキン・マネー・フロー(CMF、機関投資家の売買圧力指標)は現在0.16で推移。4月下旬以降、ゼロを上回っており、調整局面でも着実な買い集めが進むことを示している。
ただしCMFには注意点もある。5月13日のCMF値(0.33)は2月27日のピーク水準をやや下回った。このダイバージェンスは小幅であり、強気フラッグの効力を損ねるほどではない。
81ドル終値突破は上昇のシグナルとなる。25.9%のポール再現を見れば、上値目標は102ドルで100ドル突破となる。77ドルを下抜けるとパターンが弱まり、74ドルが下値の目安。74ドルを割れればフラッグパターンが無効化される。
クアルコムは中国売上の安定化を期待する3番目の恩恵銘柄。同社のクリスティアーノ・アモンCEOもトランプ氏の北京訪問団に同行した。
北京サミットではクアルコム個別の大口契約は発表されなかった。だが、戦略的な価値となるのは、約300億ドル規模の商品群を対象とする関税減免枠組みである。クアルコムは売上高の46%を中国に依存しているため、関税安定化は収益の大きな追い風となる。
同社は4月29日にこの動向をすでに示唆していた。2026年度第2四半期の売上高は106億ドルとなり、市場予想を上回った。EPSは2.65ドル。経営陣は中国のスマートフォン需要の安定化が、さらなる下振れを防ぐ要因だったと説明した。QCOM株は決算発表翌日の4月30日に15%上昇。その後も上昇を続け、5月11日に247ドルの高値を付けた。4月下旬の安値から急騰を遂げた格好だ。
その後の調整局面でフラッグパターンを形成している。半導体関連の取引を巡る憶測は沈静化したが、中国安定化シナリオは維持されている。
5月19日、CMFは再びゼロを上回り、0.02を示した。直近この指標がゼロを上回った4月下旬以降、株価は72.12%上昇している。
リスクは依然残る。アップルは段階的に自社開発のモデムへ移行しており、中国はオートトークス買収について独禁法調査を開始した。248ドルを明確に上抜ければ高値を回復し、262ドルが次のターゲットとなる。上昇が続けば281ドル、306ドルも視野に入る。
一方、191ドルを割り込むとチャートの構造は弱まり、164ドルまで下落する可能性がある。


