MVホンディウス号で発生したハンタウイルスの感染拡大により、mRNA関連銘柄が5月安値から36%上昇した。その後利益確定売りで上昇幅は縮小したが、医療株を中心にパンデミック対策関連株が再び買われる流れとなった。これにより、コロナ禍で注目された3銘柄が、2026年の復活ウォッチリストに再登場。
各銘柄の値動きは異なるシグナルを示す。1銘柄はすでにmRNAプラットフォームの強さを背景に上昇済み。もう1銘柄はバイオディフェンス事業者として逆三尊型ベースを形成。3番目は強気投資家の反対側に空売りが集積する逆張り型。いずれも2026年5月にチャートが方向感を見せる。
注:mRNA(メッセンジャーRNA)は、COVID-19ワクチンに採用されたプラットフォームであり、生ウイルスを用いず、遺伝情報を細胞に届ける方式。
コロナ禍銘柄の中で再び注目を集めるモデルナ株は、5月1日の43.69ドルから5月11日の59.45ドルまで36.08%上昇した。上昇局面では売買高が株価とともに増加し、買い圧力の強さが売り方の買い戻しでなく新規の買いによるものであることを示した。
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この上昇には3つの材料が重なった。2026年第1四半期の売上高が前年同期比260%増の3億8900万ドルとなったこと。米陸軍感染症医学研究所とのハンタウイルスワクチン共同開発が公表されたこと。さらに、mRNA-1010型インフルエンザワクチンの第3相データがニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌で公開されたことが挙げられる。
現在のモデルナ株価は54.05ドル近辺で推移。これはカップ・アンド・ハンドル継続型パターンのハンドル部分の動きに似た値動き。カップの底は43.69ドル、リムは59.45ドル付近。
このハンドル形成は、直近の値動きを重視するトレンド指標である20日指数平滑移動平均(EMA、現時点で50.50ドル)の上で進行中。
カップ・アンド・ハンドルパターンは、ハンドルがカップの半分以上まで下落すると失敗し、強気シナリオが崩れる。
51.17ドルを維持すればパターンは有効。日足でこの水準を割ると、次は20日EMAの50.50ドル、50日EMAの49.75ドルが下値メドとなる。43.69ドル割れでパターンは無効となる。
日足で54.91ドルを上抜けるとハンドル部分のブレイクアウト始動。60.96ドル超えで上昇傾向が確定し、上昇目標は81.46ドルとなる。これは足元から約33.59%上方。
モデルナはすでに上昇局面入りした。米国のパンデミック備蓄銘柄として注目されるEBS(エマージェント・バイオソリューションズ)は未反応。
コロナ禍で下落が顕著だった銘柄の中で、エマージェント社はジョンソン・エンド・ジョンソンのCOVID-19ワクチン製造をボルチモア・ベイビュー工場で4億8000万ドル契約のもと受託した。2021年に起きたコンタミ事故で1500万回分が廃棄され、その後数年にわたり株価の格下げが続いた。
今年初めに14.07ドルから7.53ドルまで44.36%下落。きっかけは、3月1日に発表した2026年度収益予想が市場予想の下限となる7億2000万~7億6000万ドルとしたこと。
4月30日には2026年第1四半期売上高が前年同期比30%減の1億5610万ドルとなり、炭疽菌や天然痘対策製品の販売減が影響した。
この2段階の下落で逆三尊(ヘッド・アンド・ショルダー・ボトム)パターンが形成された。左肩は3月下旬の7.82ドル、頭は5月初旬の7.53ドル、右肩は現在8.33ドルで売り圧力が弱まる中で形成中。売り圧力の低下は格下げ局面が一巡した可能性を示唆。
逆三尊パターンは右肩が頭(安値)を下回ると成立せず、底値が崩れる。
日足で8.33ドルを割るとパターンが弱体化。7.53ドルを下回れば完全に無効となる。
終値が10.02ドルを超える場合、ネックラインおよび0.786フィボナッチ水準の突破が確認される。この場合、25.76%の上昇余地が見込まれ、12.65ドルが目標となる。従来高値の14.07ドルが拡張目標の上限。
エマージェントのパターンは形が整っている。最終チャートはヘッジファンドが強気筋に逆らうmRNA銘柄のポジション偏重を示す。
mRNA基盤の開発力が最も高いコロナ禍銘柄の中で、バイオンテックはファイザーと共同でCOMIRNATYを開発した。両社は2021年に26億回分を165カ国へ出荷した。この年の売上高は189億8000万ユーロで過去最高を記録。
3月10日以降、BNTX株は標準的なヘッド・アンド・ショルダーズ(頭と両肩)パターンを形成した。左肩は3月中旬に100ドル付近で出現。頭は4月上旬に113.55ドルまで上昇。右肩は現在93.63ドル付近で形成され、ネックラインである92.39ドルのすぐ上に位置。
逆張りの見方は機関投資家の動向を示すChaikin Money Flow(CMF)に表れる。2月20日以降、株価は下落基調だが、CMFは安値から上昇基調となっている。このような強気のダイバージェンスは、しばしば下落トレンドが誤って終わる兆候。
ポジションデータも逆張りシナリオを裏付ける。バイオンテックは5月5日、第1四半期の1株当たり純損失が2.28ドルだったと発表。
ベア派(売り手)とブル派(買い手)のオプション比率を示すプット・コールレシオは、出来高2.23、建玉1.15と極端な売り優勢。92.39ドルを維持できれば、ショートスクイーズの燃料となる。
終値が92.39ドルを下回る場合、86.64ドルへの下落が確認される。次の支持線は79.31ドルおよび72.36ドルで、これが全体の下落幅の到達点。逆に終値が100.47ドルを超えれば右肩が無効となり、逆張りシナリオが始まる。113.55ドルを上回ればベア(売り)パターンそのものが否定される。
ヘッド・アンド・ショルダーズは、右肩が頭を上回ると完全にベア型のシナリオが失効する。現時点では92.39ドルが、この逆張りコロナ銘柄の反発と72.36ドルまでの下落を分ける水準となる。


