米大手暗号資産取引所コインベースは8日、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)からオーストラリア金融サービスライセンス(AFSL)を取得したと発表した。暗号資産取引所として初めてリテール向けデリバティブ取引の認可を直接取得し、暗号資産と株式のパーペチュアル商品を提供する計画だ。先物やオプションにも拡大する方針で、株式取引や決済など伝統的金融サービスとの競合を目指す。新法施行を前に規制対応を完了させた形だ。
コインベースは現地法人を通じてAFSLを取得し、リテール向けデリバティブ取引の認可を得た。同社によれば、暗号資産取引所がASICから直接この認可を取得するのは初めてとなる。同社は当初、暗号資産および株式関連のパーペチュアル契約を豪州投資家向けに提供し、将来的には先物やオプション取引にも拡大する。
コインベースのアジア太平洋地域マネージングディレクターであるジョン・オローレン氏は「株式取引、決済、その他の伝統的金融商品で既存の金融サービスと競争する」と述べ、暗号資産インフラの速度と実行力を武器に市場参入を図る姿勢を示した。
AFSLの取得により、コインベースは伝統的金融機関と同様に行動規範、開示義務、ガバナンス、消費者保護などの厳格な基準への適合が求められる。豪州では4月1日に企業法改正(デジタル資産枠組み)法案2025が可決され、暗号資産プラットフォームに対してAFSLの取得が義務付けられる予定だ。
コインベースは法施行前にライセンスを取得することで、規制環境の整備に先行した。同社は2026年1月時点ではライセンス取得の必要性を示していなかったが、急速に変化する規制状況に対応する形で方針を転換した。競合のクリプト・ドットコムは2024年に別企業の買収を通じてデリバティブ取引能力を獲得していたが、ASICから直接認可を得たのはコインベースが初となる。
コインベースは2016年から豪州市場でサービスを提供しており、2022年には現地法人コインベース・オーストラリアを設立した。資金移動監視機関AUSTRACへの登録、PayID対応のローカルプラットフォーム提供、24時間サポート体制の構築などを進めてきた。法務、コンプライアンス、マーケティング、オペレーションの各部門で専門人材を採用し、現地体制を強化している。
豪州では暗号資産保有者が成人の33%に達しており、前年の31%から増加している。同社はRMIT大学のブロックチェーン研究拠点との連携や、デジタル経済団体への参加、政策当局との対話を通じて、規制環境の整備にも関与してきた。今回のライセンス取得は、米国で国法信託銀行免許の条件付き承認を得たことに続く規制対応の成果であり、世界市場での事業基盤強化を進めている。


